放デイブログ

放課後等デイサービスの仕事を楽しみたい全ての人のためのブログです。仕事が楽しくなる福祉の知識などを発信していきます。

安全の基地としての放課後等デイサービスの役割


【放デイブログの運営者】

ryouiku-smm.site

 

f:id:kiminomirai:20210710002553j:plain



今日は「安全の基地としての放課後等デイサービスの役割」というテーマです。

私が運営する放課後等デイサービスで社内研修として紹介した内容となります。

「安全の基地」という言葉をご存知でしょうか?

小児心理学の分野で子どもが親を拠点として徐々に自分の世界を広げていくという発達を示す言葉です。

今回はこの考えを支援者とお子さんの関係で考えて行きたいと思います。

安全の基地とは
発達心理学の中で語られる「安全の基地」とは、母子関係の中でお子さんが保護者に対して「愛着形成」や「信頼関係」が担保される時期が訪れると、徐々に「保護者の所にいつでも戻れる範囲の中」で探索行動を始め自分の世界を広げていくという発達段階を指します。

逆にいうと「愛着形成」が十分に育まれていないお子さんに関しては、他者に依存的になってしまったり、常に自分に注目されていないと落ち着かないようなお子さんも普段の支援の中でいらっしゃると思います。

逆に保護者がこの探索行動を止めてしまったり、保護者から離れることを阻止するようなケースも発達を阻害する要因となるかと考えます。

f:id:kiminomirai:20210710004712j:plain

 

放課後等デイサービスは安全の拠点
「安全の基地」である保護者さんから少しずつ離れていく中で、新しく「安全や信頼」が担保されている「拠点」をお子さんは作って行きます。

障がいをお持ちのお子さんの場合その一つに私たち放課後等デイサービスやそこで働くスタッフが「安全の拠点」となります。

注:安全の拠点は私が作った言葉です。発達心理学用語ではありません。

もちろん学校やクラブ活動なども「安全の拠点」であると考えます。

子ども達はこの「安全の拠点」を中心にさらに自分自身の世界を広げて行きます。

f:id:kiminomirai:20210710005410j:plain

 

「安全の拠点」としての段階
「安全の拠点」としてお子さんとか変わるにはその時期やタイミングでの役割があります。


●信頼関係を築く段階
まずは、信頼関係を築く段階です。

お互いを知ることや、お子さんに「自分をちゃんと見てくれている」「自分ことを知ろうとしてくれている」と感じてもらう必要があります。

じっくりお子さんと関わる必要がある時期です。

●離れていくお子さんを見守る
どこかのタイミングでお子さんは支援者から離れて活動を始めます。

支援者はお子さんを見守ることが大切です。

お子さんが離れていけるのは「自分のことを見てくれている」という安心があるためです。

●戻ってきたら受け止める
支援者から離れていったお子さんは自分の世界を広げて行きます。

新しい挑戦をする中で失敗したり不安になった時に支援者の元に戻ってきます。

この時期にお子さんが支援者にしっかりと受け止めてもらえた成功体験が得られると、再挑戦を行うことができます。

逆に支援者が戻ってきたお子さんの気持ちを受け止めることができないと、「安全の拠点」を失い再挑戦が出来なくなってしまいます。

「安全の拠点」として支援者が注意すること
①お子さんと依存関係にならない
経験が浅い支援者さんの中には、「お子さんに好かれる」ことで承認欲求を満たそうとしてしまう方がいらっしゃいます。

そういった方はお子さんが自分から離れる段階の際に「自分の元に引き止めよう」としてしまうケースが多いです。

まずは、知識として「子どもは離れていくもの」ということを知っておいてください。

お子さんを引き止めると、「共依存」の関係になってしまうか、お子さんが強く反発し「安全の拠点」は失われてしまいます。

②子どもが困った時に支援者の方に来る関係性を目指そう

私たち支援者は無意識のうちに子ども達に関わりたくなります。

ですが、「安全の拠点」として支援者が機能するには

「信頼関係」を構築したお子さんへの支援者の役割は
  • 見守る
  • 戻ってきたら受け止める

です。

「お子さんに近寄るな」とは言いませんが、少し普段の声かけを意識するなら

「大丈夫?心配やわ」→「何かあったら声をかけてね」

に変えて見てもいいかもしれません。

困った時に信頼できる相手にSOSを出したり、相談できる能力はお子さんが社会に出た際に必ず役に立ちます。


今日は「安全の基地としての放課後等デイサービスの役割」について書かせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

【今日のオススメ書籍】